歯ぎしり・食いしばりにボツリヌス(ボトックス)治療という選択を

歯ぎしり・食いしばりにボツリヌス(ボトックス)治療という選択を

 

 

こんにちは!奈良市の歯医者  冨森歯科医院です。

「仕事中や勉強中に無意識に歯を食いしばっていることがある」

「最近、歯ぐきが下がってきた気がする」

「知覚過敏がひどくなった」

といったお悩みはありませんか?

 

歯ぎしり・食いしばりはさまざまなお口のトラブルを引き起こします治療法はいくつかありますが、

今回はボツリヌス(ボトックス)治療について詳しく解説していきます!

 

 

歯ぎしり・食いしばりを放っておくリスク

歯ぎしりや食いしばりは、適切な対応を行わずに放っておくと、次のような症状が起こる可能性があります。

「癖だからしょうがない」と思わずに診断を受け、適切な治療を受けることが必要です。

 

・顎の痛み、重だるい感じ

・口が開きにくい

・顎がカクカクと鳴る

・歯のすり減りや亀裂が生じる

・知覚過敏が起こる

・詰め物や被せ物が取れてしまう

・歯ぐきが下がり、歯の根元が見える(審美性の低下)

・歯槽骨(歯を支える骨)に力がかかり、歯がぐらつく、歯の根が割れる

・頭痛や首・肩のこり

・睡眠の質が低下して、日中の疲れや集中力が低下

 

歯ぎしり・食いしばりの治療法

歯ぎしり・食いしばりの保険診療はナイトガード(マウスピースを用いた治療)やマッサージ、日常生活における指導があります。

 

ナイトガード(マウスピースを用いた治療)

マウスピースを用いた治療はスプリント療法とも呼ばれます。

既製品、もしくは歯型を採取して製作したオーダーメイドのマウスピースを夜間睡眠中や集中するときに歯に装着します。

噛みしめや摩擦力を緩和して、症状を軽減するのが目的です。

マッサージ

食いしばりがあると、噛む筋肉の咀嚼筋が過度に緊張して硬くなっています。

顎を動かしたときに動く筋肉(咀嚼筋)を指の腹で円を描くようにやさしくマッサージして、筋肉の緊張を緩和します。

日常生活における指導

 

歯ぎしりや食いしばりは「睡眠が浅いとき」「下を向いて集中しているとき」「ストレスを感じているとき」に出やすい傾向があります。

以下の点に気をつけましょう。

 

・ストレスをためこまない

・質の良い睡眠のために生活リズムを整え、寝る前はリラックスする

・疲れたら休息をとる

・首や肩に負担がかかる姿勢をとり続けない

・作業途中でストレッチなどを行う

・上下の歯がくっついていたら離すように意識してリラックスする

歯ぎしり・食いしばりの治療のボツリヌス(ボトックス)治療

マウスピースを用いた治療は、歯や顎にかかる負荷の軽減が目的で、過度な筋肉の緊張自体をコントロールすることはできません。

ボツリヌス(ボトックス)治療は、咬筋の過剰な緊張を直接的に軽減できる治療です。

歯ぎしり・食いしばりのボツリヌス(ボトックス)治療とは

ボツリヌス菌がつくり出すボツリヌス毒素(ボツリヌストキシン)を咀嚼筋の一つである咬筋に注射する治療です。

注射することで、過度に緊張している筋肉のこわばりが軽減して、筋肉の痛みが和らぎ、顎関節が動きやすくなります。

歯や顎への負担も軽減するので、顎や歯、歯ぐきの症状の改善も期待できます。

 

 

ボツリヌス(ボトックス)治療のメリット・デメリット

 

メリット

✔️ マウスピース治療に比べて効果をはやく感じられる

✔️ 1回の治療で約2~3ヶ月間、緊張の軽減を実感できる[1]

✔️ マウスピースを装着する手間がない

✔️ 一定の間隔をあけて再度治療ができる

✔️ フェイスラインがすっきりする

 

デメリット

✔️ 注射のため痛みが伴う

✔️ 副作用・リスクがあるので持病や身体の状態よっては使用できない場合もある

✔️ 自由診療のため保険診療に比べてコストがかかる

 ※ボツリヌス(ボトックス)治療は自由診療です。

 

治療費用

 

ボツリヌス(ボトックス)治療

18,700円(税込)

 ※ボツリヌス(ボトックス)治療は自由診療となります。

※デンタルローンが使用できます

 (回数コースを組んだ場合)

※コース契約でお安くなるプランがございます

 

使用する製剤について

当院で使用のボツリヌストキシン製剤はINNOTOX®︎を使用しております。

韓国Medytox社が開発した世界初の液体型ボツリヌストキシン製剤です。

米国アラガン社とのライセンス契約を締結しており、ヒト由来成分・植物由来原料不使用となっています。

また日本厚生労働省に認可されております

 

※入手経路

国内代理店から購入しています。

 

※副作用

・注射部位の腫れ、痛み、内出血などが起こる場合があります

・アレルギー症状が現れることがあります

・注入部位の重だるい感じがすることがあります

 

※注意点

・妊娠、または妊娠している可能性がある方、授乳中の方は受けられません

・女性は投与中、投与後2回の月経が過ぎるまで避妊が必要

・男性は投与中、投与後3ヶ月間は避妊が必要

・治療後は顔の左右差を感じることがありますが時間経過とともに軽減します

・効果を感じるまでの時間、効果の持続時間は個人差があります

・歯ぎしりや食いしばりがなくなるわけではありません

・治療当日は入浴、激しい運動、過度の飲酒は避けてください

・注射しや箇所を強くもまないようにしてください

 

歯ぎしり・食いしばりのボツリヌス(ボトックス)治療の流れ

 

ボツリヌス(ボトックス)治療は次の流れで行います。

 

 STEP1 カウンセリング・検査

症状を詳しくお伺いして、お口の中の診査やレントゲン検査などを行います。診査や検査結果をもとに、ボツリヌス(ボトックス)治療が適しているかどうかを判断します。

 STEP2 治療計画のご説明

副作用やリスク、メリット・デメリットも含めて治療内容についてご説明し、説明同意書を記入します。

 STEP3 ボツリヌス(ボトックス)治療の実施

当日の体調を確認し、問題がなければ注射を行う位置にマーキングをします。ボツリヌスを咬筋に注入します。

 STEP4 経過観察・定期受診

約1ヶ月後にご来院いただき、経過を診ます。効果が薄れる約3ヶ月後にも定期受診を受けていただきます。

ご希望や必要に応じて、一定期間をおいて再度治療を行います。

歯ぎしり・食いしばりの症状があれば、ボツリヌス(ボトックス)治療の相談を

歯ぎしり・食いしばりを放っておくと、この先20年、30年以上使い続けるお口の健康に悪影響を及ぼし、

さらには食事や会話などの日常生活にも支障をきたす場合もあります。

「マウスピース治療が合わなくて続けられなかった」「マウスピース治療やマッサージでは効果を感じられなかった」という方にとって

ボツリヌス(ボトックス)治療は新たな選択肢の一つとなります。

注射を行う治療であるため、お口の中の検査やしっかりとした説明の上で治療を受けられる歯科医院を受診することが大切です。

奈良市の冨森歯科医院では、患者さんのお話をじっくりとお伺いした上で、

検査のもとに診査・診断を行い、ボツリヌス(ボトックス)治療を実施しています。

 

1回で効果が感じられやすい治療法ですので、歯ぎしり・食いしばりでお悩みの方は冨森歯科医院までご相談ください。

 

 

[記事監修者]

院長:冨森 伸一郎 

 

参考URL

[1] Glenn T Clark The management of oromandibular motor disorders and facial spasms with injections of botulinum toxin  Phys Med Rehabil Clin N Am14(4)p.727-748. 2003

https://pubmed.ncbi.nlm.nih.gov/14580034/

参照URL

ブラキシズムの診療ガイドライン 睡眠時ブラキシズムの治療(管理)についてブラキシズムの診療ガイドライン 睡眠時ブラキシズムの治療(管理)について

https://hotetsu.com/files/files_540.pdf

厚生労働省 こころの耳 No.2 ストレスと口の健康

https://kokoro.mhlw.go.jp/column/body002/ 

一般社団法人 日本美容歯科医療協会 咬合力の適正化コントロール 過剰な顎運動制御のための 歯科ボツリヌス治療

http://jcd.jp/from%20oraltougou/boturinus-text-partial.pdf             

吉田和也 ボツリヌス毒素の口腔領域への臨床応用 日本歯科麻酔学会雑誌48(2)p.33-40 2020

https://www.jstage.jst.go.jp/article/jjdsa/48/2/48_33/_pdf/-char/ja